【目 次】
―移動の仕組み―
移動とはどういうことか
季節のサイクル
生殖行動
放浪と侵入
時間の計測
旅を生き抜く
救いの手
さまざまなルート
目に見える手がかり
目に見えない手がかり
脳の認知地図
神話と謎
移動の起源
移動の研究
増大する危険
終わりの始まり
―陸上の移動―
カリブー
ホッキョクグマ
高山の動物
ドールシープ
バイソン
草の海
ウィルドビースト
アフリカゾウ
砂漠からデルタへ
モンゴルガゼル
ノルウェーレミング

マンクスミズナギドリ
シュバシコウ
ミサゴ
アレチノスリ
洪水と火事の国
コオバシギ
アメリカシロツル
オオソリハシシギ
キョクアジサシ
北極からの侵入
ノドアカハチドリ
ミナミベニハチクイ
ツバメ
キタヤナギムシクイ
マダラヒタキ
大西洋を横断する放浪者
ズグロアメリカムシクイ
オオカバマダラ
アメリカギンヤンマ
サバクトビバッタ
動物の移動が見られる世界のホットスポット




コウテイペンギン
ワキアカガーターヘビ
ガラパゴス・リクイグアナ
ヨーロッパヒキガエル
アカガニ
―水中の移動―
ザトウクジラ
ミナミセミクジラ
コククジラ
セイウチ
マゼラン・ペンギン
ケンプヒメウミガメ
アオウミガメ
磁気に引かれて
ジンベエザメ
ヨシキリザメ
タイセイヨウクロマグロ
ベニザケ
ヨーロッパウナギ
もっとも規模の大きな移動
ナンキョクオキアミ
アメリカイセエビ
オーストラリアアコウイカ
―空中の移動―
メキシコオヒキコウモリ
ストローオオコウモリ
ハクガン
コハクチョウ
波に乗る鳥たち
ハシボソミズナギドリ
小菅正夫
旭山動物園前園長
渡り鳥という呼び方は、なぜか私たちに郷愁を抱かせる。太古の昔から、どこからともなく突然姿を現し、気づいたらいなくなっている。これを神の仕業と考えても無理はない。地球上のいたるところで神の仕業が繰り広げられている。
すべてが、動物たちの生き残るため、命をつなぐための旅である。星座、地磁気、景色、匂いなどなど、動物たちが移動の手がかりとしている情報は、多種多様であるに違いない。今、その情報を人間の社会活動が少しずつ狂わせている現実が、神の仕業を狂わせてしまうかもしれない。
本書は、古代の人々のロマンあふれる発想から科学的なアプローチ、それでも解明されない、〈生まれながらにして知っている〉という事実を、オキアミからゾウにいたるまで実に面白く解説している。それでも、〈北海道で生まれたカッコウが、なぜ一羽で南を目指して飛び立つのか〉は、誰にもわからない。
樋口広芳
東京大学大学院教授(鳥類・生態学・保全生物学)
青い星、この地球には、さまざまな生きものがくらしている。その中には、大空を何万、何十万、あるいはそれ以上の群れとなって移動するものがいる。渡り鳥だ。毎年、春と秋にそうした大移動が繰り広げられる。また、陸の上でも海の中でも、種類は違っても、いろいろな動物たちが長い長い距離を移動する。圧倒されるような数と躍動感に目を奪われる。この本は、そうした地球の自然の醍醐味を、数多くのすばらしい写真と適切な解説を通して、存分に味わわせてくれる。こんなにすごい生命のドラマがこの小さな青い星の中で展開されていることなど、ほとんどの人は知らないに違いない。