評・池内了(宇宙物理学者)/読売新聞2009年5月3日(日)/本よみうり堂にて
私たちの周囲を見渡すと、時間、金銭、距離、体重等々、数に溢(あふ)れている。もはや私たちは数抜きでは生きていくことができない。人類こそが数の概念を自由に使いこなせる動物なのだ。さらに、数には整数、分数、小数、対数、有理数、無理数、虚数などがあり、約数、倍数、素数、友愛数、完全数などもある。いったん数を発見すると、人類は止めどなく数の世界を豊かにしてきたのだ。
本書は、始まりの前の-1から無限大まで、数にまつわる諸々の歴史を通覧したものである。数多くの歴史上のエピソードとそれに関連するさまざまな古今の図版を見ているだけでも楽しい。「いつの世もある三角関係」「パイをひと切れ」「13恐怖症」など、身近な話題から始まって高級な数学の問題までやさしく語る手法も非凡である。
家族が揃(そろ)って本書を開き、数の世界に遊んでみるのをお薦めしたい。日暮雅通訳。(悠書館、5800円)

東京・中日新聞書評欄 2009年5月24日(日)
数字は宗教と科学との土台となり、文明は数の探求とともに発達してきた。0の発見から想像を絶する複雑な数式まで、数字の世界と物語は果てしない。「無」をめぐる論争、数字の世界にもある三角関係、数々の発見と発明、幸運・不運を招く数字、極限の速度など、面白いテーマを写真とやさしい解説で展開する。