原家の砂時計――居場所を求める百年の旅路――

▶2016年7月27日発売

 

[著]篠田顕子

[体裁]四六判・254ページ

[定価]本体2,000円+税

[ISBN]978-4-86582-014-0

 

オバマ大統領就任演説の同時通訳をつとめた著者の新境地を開く、渾身のノンフィクション!

 

グローバル化の進展や、自然災害の激化、原発事故、戦争など、好むと好まざるとにかかわらず、ふるさとを離れての生活を余儀なくされる人々が増えつつある今日、そのような人にとって「ふるさと」とは何か? 「ふるさと」に代わりうるものとは何か?

百年前にアルゼンチンに渡った原一族と、自身、十代の大半を「異郷」で暮らし、その後も外国人と結婚して久しく「故郷」を離れていたが、結局、日本に舞い戻ってしまった著者の体験とを重ね合わせて、「ふるさと」と「居場所」の持つ意味を考察した渾身のノンフィクション。

 

篠田顕子(しのだ・あきこ)

1943年8月、第二次大戦中、疎開先の大阪府下の田舎町で生まれる。戦後、小学5年より海運会社勤務の父親の転勤により、香港、アルゼンチン、ロンドンと国内外を移り住む。1966年、国際基督教大学(ICU)を卒業後米国人と結婚し、アメリカ、チリ、オーストラリアなどで約15年間生活。最終的に日本を「居場所」と定めて1980年代前半に帰国以来、同時通訳者としてNHKの報道番組や国際会議の通訳を務めて現在に至る。この間のことを著わした著作に、『愛の両がわ』(原書房)や『英語リスニング・クリニック』(研究社)などがある。

本書に登場する原恵子さんとは、大戦中両家の父親が赴任地シンガポールで一緒だったことから付き合いが始まり、終戦後の厳しい時代やその後のアルゼンチンでの再会などを通して、75年にわたる関係を深化させてきた。

著者は現在娘一家と東京在住、週末は山梨県で農作業を楽しんでいる。