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スパイにされた日本人―時の壁をこえて紡ぎなおされた父と娘の絆

【著】エドナ・エグチ・リード

【訳】加藤恭子、平野加代子

 

定価=本体2,000円+税

四六判256ページ

ISBN 978-4-903487-58-8

2012年7月発売

✣日本図書館協会選定図書

日英開戦の1年半も前にイギリス政府によって不当逮捕され、6年にわたる拘留ののち日本に送還された著者の父、江口孝之は1967年に死去するが、名古屋の自宅の書斎には、2人の女性―エリザベス女王と、最初の妻ウィニフレッド―の肖像画が残されていた……

 

名古屋の素封家の長男として生まれた孝之は、イギリスに留学して清楚で美しいイギリス女性、ウィニフレッドと結婚。しかし、2人の子どもに恵まれた、なに不自由のない暮らしを送っていた一家の運命は、孝之のいわれのない逮捕で暗転する。イギリスと日本は戦争に突入し、ウィニフレッドは家族の生活を必死に支え、また子どもたちはすさまじいいじめにあい、失踪した父を憎むようになる。


父と生き別れて半世紀以上たち、娘エドナは父の本当の姿を知りたいと思い立つ。理解と和解への長い旅立ち。父から送られた日記やメモ、「獄中記」、そして英国政府の公文書などから明らかになった、父の真の姿、そして国家の犯した悪とは?…

 

 

朝日新聞「ニッポン人・脈・記」〈日英新世紀〉

連載第1回「波乱の歴史 乗り越えて」に著者登場!
(2012.7.5夕刊、7.6統合版掲載)

 

▶▶▶『朝日新聞』2012年9月16日付読書面に書評が掲載されました(評者:逢坂剛氏)。

▶▶『文藝春秋』2012年9月号特集「太平洋戦争 語られざる証言」に著者の体験とともに掲載されました。

▶『ミスター・パートナー』2012年11月10日号で紹介されました。

 

【著者】

エドナ・エグチ・リード
(Edna Eguchi Read)
1929年、日本人の父とイギリス人の母の次女としてロンドンに生まれる。ウエスト・サセックス大学で美術を学ぶ。スウェーデンの大企業のオフィス・デザインを手がけたさい、オフィスビルに現代アートを継続的に展示する試みを創案し、それが新しい美術の町、ミルトン・キーンズ発展のモデルとなった。この町のアート・コンサルタントを40年務め、いまやイギリスのどこよりも多くの美術作品にあふれた町として有名である。2007年~09年に作品《アフター・ポンペイ、アフター・ヒロシマ……》が、ミルトン・キーンズ、横須賀、東京、広島、京都で展示された。 2012年8月2日~6日開催『ヨコスカ平和美術展』に出品し、来日。


【訳者】

加藤恭子(かとう・きょうこ)
1929年、東京生まれ。上智大学元講師。著書に『言葉でたたかう技術』『昭和天皇と美智子妃 その危機に』(ともに文藝春秋)、『アーサー王伝説紀行』(中公新書)など多数。編著に『私は日本のここが好き!』(出窓社)、『上野久徳伝』(三省堂)、訳書に『英国空軍少尉の見た日本占領と朝鮮戦争』(社会評論社)など。第43回日本エッセイスト・クラブ賞、第11回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞、第65回文藝春秋読者賞受賞。

 

平野加代子(ひらの・かよこ)
1944年生まれ。加藤恭子翻訳グループ会員。共訳書に『ぼくはあの戦争を忘れない』(講談社)、『中世の饗宴』『図説聖杯伝説』(原書房)などがある。