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図説・古代エジプト人物列伝

[著]トビ―・ウィルキンソン

[訳]内田杉彦

[定価]本体6,000円+税

[体裁]A5判・488ページ・ 収録図版190点

[ISBN]978-4-903487-97-7

2014年12月発売

✣日本図書館協会選定図書

100人の古代エジプト人の生涯を通して見る、ファラオのもとでの生活

 

 ナポレオンのエジプト遠征にともなう学術調査から200年以上も続けられてきた調査・研究のおかげで、古代エジプトの歴史や宗教、言語、社会構造などのほか、当時の人びとの生活についても多くの情報が得られるようになっている。しかしながら、古代エジプト人が実際にどのような人びとだったのかについては、あまり知られていない。

 本書は、書簡や遺言書、訴訟記録のような個人の性格や人生に光をあてる数少ない史料に着目し、古代エジプトに生きた人びとから100人を選び、それぞれの立場で、当時の社会に生きるということはどのようなものだったのかを描きだそうとする。著者の言葉を借りれば、まさに「古代エジプトの歴史と文化をその住人たちの生涯を通して探求し、彼らをして語らせる」試みである。

 

 古代エジプト人の代表とされたこの100人には、トゥトアンクアムンやラメセス2世、クレオパトラなど高名な「スター」たちだけでなく、軍人から神官、書記、医師、芸術家、職人などさまざまな階層に属する人びとが幅広く選ばれており、わが国の読者にはこれまでほとんど名を知られていなかった人びとも数多く登場する。

 時代の荒波に翻弄された王子や王女たち、王の側近として活躍し権勢をふるった貴族や、乱世に台頭した豪族、さらには農場経営について家族にやかましく指図する農夫、親不孝な子供たちに遺産を相続させまいとする母親、敬虔な信仰に生きた神官、はてまた悪名高い犯罪者など、多種多様な人生の一端をかいま見ることで、読者は、はるかな昔、ナイルのほとりで確かに生きていた人びとの人間像に触れ、当時の社会の空気を感じとれることだろう。

 

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第Ⅰ部 建国:初期王朝時代

ナルメル:最初の国王/メルネイト:政権を握った最初の女性/カーセケムウイ:ピラミッド時代の先駆者/ジョセル:階段ピラミッドを造営した王/宮廷の主任歯科医/イムホテプ:建築家、賢者、ついには神に/キャリア官僚ほか

第Ⅱ部 ピラミッド時代:古王国時代

ヘテプヘレス:クフ王の母/クフ:大ピラミッドの主/ウナス:謎めいた王/メチェチ:廷臣、パトロン、審美家/ペピ2世:エジプト最長の治世を持つ王/大ピラミッドを建設した労働監督官/宮廷専属の小人/国王の便利屋/探検家ほか

第Ⅲ部 内戦と復興:第一中間期と中王国時代

メンチュホテプ2世:エジプトを再統一した王/砂漠交通路の支配者/女性神官/テーベの戦士王/大蔵大臣/書簡を残した農夫/オシリスの秘儀の証人/王になった平民ほか

第Ⅳ部 黄金時代:第18王朝初期

ハトシェプスト:ファラオとなった王妃/ハトシェプストの寵臣/トゥトモセ3世:エジプト帝国の創設者/王となったアジア人/国家神アムンの大司祭/西部砂漠の支配者/大げさな大家令/美しい墓を持つ小市民/テーベ市長/アメンホテプ3世:黄金時代の統治者/ティイ:権勢を振るった王妃/芸術を愛する平凡な書記ほか

第Ⅴ部 大いなる異端の時代:アマルナ時代

アクエンアテン:異端のファラオ/ネフェルトイティ:玉座の背後の権力者/トゥトアンクアムン:少年王/少年王の幼妻/アイ:生き残った大物/新宗教の狂信者/美術革命をリードした彫刻師/警察長官/王の宝庫管理官ほか

第Ⅵ部 帝国時代のエジプト:ラメセス朝時代

ラメセス2世:最も偉大なファラオ/カーエムウァセト:最初のエジプト学者/メルエンプタハ:イスラエルを屈服させたファラオ/ラメセス3世:エジプト最後の大王/王家の谷の職人/成功した二世移民/メンフィスの楽師/長期裁判の勝者/悪名高い犯罪者/キングメーカー/親不孝な子供から相続権を取りあげた母/苦難の世相を映す書簡の筆者/王に挑戦した実力者/大将軍ほか

第Ⅶ部 神々の黄昏:第三中間期、末期王朝時代、プトレマイオス朝時代

ピイ:最初の黒人ファラオ/ニトイクレト(ニトクリス):神妻として生涯を捧げた王女/アハモセ2世(アマシス):ギリシア人と和解した王位簒奪者/ウァジホルレスネト:ペルシアに協力した提督/蛇医者/故郷の神の信仰に一生を捧げた神官/プトレマイオス1世:王朝を創始したマケドニアの将軍/マネト:エジプト史の父/クレオパトラ7世:伝説となった悲劇の女王ほか

 

詳細…

【著者】

トビ―・ウィルキンソン(Toby Wilkinson) 

イギリスのエジプト学者で、現在はケンブリッジ大学のクレアカレッジにおいて特別研究員の地位にある。とりわけ古代エジプトの国家形成に関する研究で知られており、近年の著作としては本書のほか、Early Dynastic Egypt (Routledge,2001)、Genesis of the Pharaohs : Dramatic New Discoveries Rewrite the Origins of Ancient Egypt (Thames & Hudson, 2003)、The Rise and Fall of Ancient Egypt(Random House Trade Paperbacks, 2013)、The Nile : A Journey Downriver Through Egypt’s Past and Present (Knopf, 2014) などがある。

 

【訳者】

内田杉彦(うちだすぎひこ)

早稲田大学およびシカゴ大学大学院で学び、エジプト学を専攻。現在は明倫短期大学准教授。著書に『古代エジプト入門』(岩波書店)、日本オリエント学会編『古代オリエント事典』(岩波書店)、訳書に『病と風土:古代の慢性病・疫病と日常生活』(學藝書林)、『ヴィジュアル版古代エジプトの世界』(原書房)、『図説ピラミッド大百科』、『古代エジプト神々大百科』(以上東洋書林)など多数。