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〈法〉と〈生〉から見るアメリカ文学

 

[編]越川芳明・杉浦悦子・鷲津浩子

[体裁]四六判・356ページ

[定価]本体2,800円+税

[ISBN]978-86582-028-7

2017年4月発売

 

人は〈法〉を作り、時に法に従い、時に法を逸脱する。
そのような人の営みを、3世紀にわたるアメリカ文学の作品群から読み解く。

 

 

…ほとんどの場合、文学が描く世界とそこに生きる人との関係は緊張している。世界には幾重にも「法」があり、それが人を保護すると同時に、束縛や規制にもなるからである。現世の社会の法、憲法やそれに基づいて作られた法律もあるし、宗教的な法もある。また、道徳的な道、習慣的な掟もある。これらは変化を拒み、例外を認めず、その法を掲げる共同体を維持しようとする。いっぽう、一人一人の生は一様ではないし、変化し、ときには奔放に動く。多くの場合、その法に抗い、法の埒外に踏み出してしまうのが、文学が描く人なのである。としてみれば、文学のテクストを読むにあたって、法と生は有効な視点となるに違いない。(「あとがき」より)

 

序論 監獄と墓地の現象学―『緋文字』の「法」と「生」 (鷲津浩子)
第1章 笑う歴史家―ワシントン・アーヴィングによるアメリカ文学はじまりの空騒ぎ

 (山口善成)

第2章 不法の「蕾バッド」― ハーマン・メルヴィル『ビリー・バッド』 (幡山秀明)

第3章 エドガー・アラン・ポーとマイナー文学 (鵜殿えりか)

第4章 酒毒と狂気―エドガー・アラン・ポウ「黒猫」の法医学 (鷲津浩子)

第5章 「法」と「生」のアメリカ的アイロニー (大畠一芳)

第6章 法に背を向ける―シオドア・ドライサー (岩元 巌)

第7章 ワインズバーグ、オハイオ州立大学―モリル法の文学史に向けて (三添篤郎)
第8章 ヘミングウェイ作品にみられる「法」と「生」 (新井哲男)

第9章 キューバのヘミングウェイ―キリスト教の「法」の下に隠されたアフロ信仰

 (越川芳明) 

第10章 物事は込み入ってなければ正しくない―フォークナーにおける法と生 

(植野達郎)

第11章  ナサニエル・ウェストの『イナゴの日』における演劇性と苦痛の快楽

 (千葉洋平)

第12章  自由と生命は法によって守られうるか

―『宙ぶらりんの男』に見る「自由」と「生命」と「法」の関係 (坂口佳世子)

第13章  バーナード・マラマッド『アシスタント』における法と生 (大工原ちなみ)

第14章  『郭公の巣』における身体の管理と男の欲望 (齋藤博次)

第15章  トマス・キング『緑の草、流れる水』における教義〈ドグマ〉の解体 (長岡真吾)

第16章  オジブウェの法とエグザイルの生

―ジェラルド・ヴィゼナーの『ホワイトアースの骸布』と『条約シャツ (余田真也)

第17章  サミュエル・R・ディレイニーの『バベル-17』における愛と言語の法則 

(平沼公子)

第18章  トニ・モリスンの『パラダイス』における法と生 (永瀬美智子)

第19章  ジェイン・ギャロップを巡る「法」と「生」 (新井磯乃)

第20章  逃げるジュンパ・ラヒリ (杉浦悦子)

 

鷲津浩子(わしづ・ひろこ) 

筑波大学大学院博士単位取得退学。文学博士(筑波大学)。筑波大学人文社会系教授。南北戦争前アメリカ散文、知識の枠組み、知識史。著書 『時の娘たち』(南雲堂 2005年)、 Visions of the Industrial Age, 1830-1914 ( 共著 Ashgate, 2008) 。

山口善成(やまぐちよしなり) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)筑波大学。高知県立大学准教授、初期アメリカ文学専攻。論文「荒野とバラーフランシス・パークマンの『森の歴史』における園芸学の作用」『アメリカ文学評論』25号(2017年)。

幡山秀明(はたやまひであき)

筑波大学大学院博士課単位取得退学。宇都宮大学教授。現代アメリカ文学専攻。著書『英米幻想文学』(共著 ミネルヴァ書房 1997年)。訳書『レターズ』(共訳 ジョン・バース著 国書刊行会 2000年)。

鵜殿えりか(うどのえりか) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)筑波大学。愛知県立大学教授。近現代アメリカ文学専攻。著書『トニ・モリスンの小説』(彩流社 2015年 日本アメリカ文学会賞受賞)、『ハーストン、ウォーカー、モリスン―アフリカ系アメリカ女性作家をつなぐ点と線』(共編 南雲堂フェニックス 2007年)。

大畠一芳(おおはたかずよし) 

筑波大学大学院博士単位取得退学。茨城大学名誉教授、流通経済大学非常勤講師。著書『アメリカ文学とテクノロジー』(共著 筑波大学アメリカ文学会 2002年)、『新アメリカ研究入門』(共著 成美堂 2002年)等。

岩元巌(いわもと いわお)

東京教育大学卒業。筑波大学名誉教授。著書『バーナード・マラマッド』(1979年 冬樹社)、 『変容するアメリカン・フィクション』(南雲堂 1989年)等 訳書 J.アップダイク『結婚しよう』新潮社 1968年)、『メプル夫妻物語』(新潮社 1990年)他。

三添篤郎(みぞえあつろう) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)筑波大学。流通経済大学准教授。20世紀アメリカ文学・文化専攻。著書『冷戦とアメリカ』(共著 臨川書店 2014年)、『アメリカ映画のイデオロギー』(共著 論創社 2016年)。
新井哲男(あらいてつお)

東京学芸大学大学院修士課程修了。 東京家政大学教授。 現代アメリカ文学専攻。著書『アメリカ文学のヒロイン』(共著 リーベル出版 1984年)、『アメリカ文学のヒーロー』(共著 成美堂 1991年)。 

越川芳明(こしかわよしあき)筑波大学大学院博士課程単位取得退学。明治大学副学長。ポストモダン文学、ボーダー文学。 著書『トウガラシのちいさな旅』(白水社 2006年)、『壁の向こうの天使たち』(彩流社 2014年)、 『あっけらかんの国キューバ』(猿江商会 2016年)。

植野達郎(うえのたつろう) 

東京学芸大学大学院修士課程修了。実践女子大学教授。 現代アメリカ文学専攻。著書『アメリカ文学のリヴァーブ』(共編 開文社出版 2004年)。訳書『重力の虹』(共訳 トマス・ピンチョン著 国書刊行会 1994年)。

千葉洋平(ちばようへい) 

筑波大学大学院博士課程修了。博士(文学)筑波大学。 関東学院大学非常勤講師。現代アメリカ文学専攻。論文「「全ての生き物は批評家である」―プロパガンダ時代におけるケネス・バークのコメディー論」(『アメリカ文学評論』24号 2014年)。

坂口佳世子(さかぐちかよこ) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。宮崎大学名誉教授。現代アメリカ文学専攻。 著書『ソール・ベロー研究』(成美堂 2003年)、『グローバル化のなかのポストコロニアリズム』(共著 風間書房 2013年)。

大工原ちなみ(だいくはらちなみ)

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。富山大学人文学部教授。著書 『アメリカ文学のヒーロー』(共著 リーベル出版社 1991年)、『ソール・ベロー研究―人間像の生き方の探求』(共著、大阪教育図書 2007年)。

齋藤博次 (さいとうひろつぐ) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。 岩手大学人文社会科学部教授。現代アメリカ文学・文化専攻。著書『イン・コンテクスト』(共著 「Epistemological Frameworkと英米文学」研究会 2003年)、『冷戦とアメリカ―覇権国家の文化装置』(共著、臨川書店、2014年)。

長岡真吾 (ながおかしんご)

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。島根大学教授。文化交流論、アメリカ文学専攻。 著書『亡霊のアメリカ文学』(共著 国文社 2012年)、『帝国と文化』(共著、春風社 2016年)。

余田真也(よでんしんや) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)筑波大学。和光大学教授。アメリカ文学専攻。著書 『英語圏文学─国家、文化、記憶をめぐるフォーラム』(共著 人文書院 2002年)、『アメリカ・インディアン・文学地図─赤と白と黒の遠近法』(彩流社 2012年)。

平沼公子(ひらぬまきみこ)

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)筑波大学。聖徳大学講師。アフリカ系アメリカ人文学専攻。著書『英語教師のための教養講座』(共著 開拓社、2017年)。論文 “Is a Love Story Possible? Negation of Identity Politics and Anti-Racial Realism in Octavia E. Butler’s “Bloodchild”『アメリカ文学評論』第22号(2011年)。

永瀬美智子(ながせ・みちこ) 

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。愛知大学文学部教授。アメリカ文学・文化専攻。専門分野はToni Morrisonを初めとする現代アメリカ黒人女性作家研究。著書『トニ・モリソン研究〔1〕』(2005年)。論文「映画に投影するアメリカを読む」『言語と文化』第34号 (2015年)。

新井磯乃(あらいいその)

筑波大学大学院博士課程単位取得退学。現代アメリカ文学専攻。

杉浦悦子(すぎうらえつこ) 

広島大学大学院博士課程単位取得退学。元多摩大学教授。現代アメリカ文学専攻。著書『アジア系アメリカ作家たち』(水声社 2007年)。訳書『神の息に吹かれる羽根』(シークリット・ヌーネス著 水声社 2008年)。

 

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