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渡部豊子の語りー新しい日本の語り 第2期第9巻
[編]日本民話の会
責任編集・大島廣志
[体裁]四六判・240ページ、DVD付き
[定価]本体1,800円+税
[ISBN]978-4-903487-76-2
2014年4月発売
「むが〜す、むがす、あったけど」で始まる、山形県新庄の昔話を全国各地で語り続ける、山形屈指の語り部の昔語り。
▶『山形新聞』2014年6月29日付地域面でご紹介いただきました。
「…炬燵にたっぷり炭火を入れると、向き合って祖母が語りだす。囲炉裏のそばで俵編みしている父も、上座の祖父も、縫い物している母も、みんな祖母の語りを聞いている…
親の言うことなど目にも耳にも入れず、やりたいことをやって、聞きたいほど昔話を聞いて、幸せな子ども時代だったが、もしかしたら、あれは夢だったのかもしれない」(本書「私が子どもだったころ」より)
近隣でも知られた〈語り婆さ〉であった祖母をはじめ、祖父や父母からたくさんの昔話を聞き、そこにこめられた人生訓や生活の知恵を心の栄養として育った渡部豊子は、長ずるに及んで、大好きだったばんちゃんの後を継ぎ、多くの人びとに語りを伝えている。
すぐれた生活者でもある〈日本の語り婆さ〉―渡部豊子の骨太で大らかな「むがす」、じっくりとかみしめて、味わうことにいたしましょう。
私が子どもだったころ 渡部豊子
[I]祖父母の語った昔ばなし
1.ねずみ浄土
2.極楽見た婆さま
3.寿命かえる枕飯
4.片角子
5.和尚と小僧
6.にら昔
7.牛の恩返し
8.びっき(蛙)嫁コ
9.かぶ漬げ昔
10.巡礼お鶴
[II]父の語った昔ばなし
11.弟切り草
12.お釈迦様とつばめ
13.川獺と狐
14.郭公鳥の昔
[III]季節の昔ばなし(春の巻)
15.猿婿昔
16.稲株昔
17.飯食ね嫁コ
[IV]季節の昔ばなし(夏の巻)
18.きゅうり姫ご
19.カッパの昔
20.織り姫と彦星
[V]季節の昔ばなし(秋の巻)
21.富山の薬や
22.鮭の大助
23.鴨取り源五郎
[VⅠ]季節の昔ばなし(冬の巻)
24.貧乏の神
25.柿売りと南蛮粉売り
26.雉昔
[VⅡ]おもしろい昔ばなし
27.蚤と虱
28.ぼだもち びっき(蛙)
29.豆コ昔
30.宅兵衛ばなし
[VⅢ]知人が語った私の好きな昔話
31.葬頭河の婆さま
32.若返りの水
33.きつねの恩返し
34.歌うしゃれこうべ
35.やろっコ昔
36.猫の嫁ご
37.雁かやぎ
渡部豊子さんとその語り 大島廣志
語りの学校 IX 米屋陽一
【語り部紹介】
渡部豊子(わたべ・とよこ)
1942年、山形県新庄市に生まれる。幼い頃に祖父母や父から日々の暮らしの中で聞いた新庄の昔話を、今日も鮮明に記憶している県内屈指の語り手。「むが~す、むがす、あったけど」で始まり、「どんべすかんこねっけど」で終わる昔話を、山形県内だけでなく全国各地に出向いて語り続けている。地元では、小学校での語り指導や福祉施設での語りを長年にわたり行なっている。自身の生活と昔話をまとめた著書『昔話と村の暮らし』がある。