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植物ウイルス―病原ウイルスの性状

 

【編著】山下修一

 

定価=本体12,000円+税

A5判312ページ、カラー口絵16ページ

2011年5月発売

ISBN 978-4-903487-47-2 

 ✣日本図書館協会選定図書

 

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現代ウイルス学の最前線! 日本の植物ウイルス種を網羅した最新事典

 30数億年以上前から存在する生命体で、人類最後の敵ともいわれるウイルス。病気を引き起こす一方、増殖や免疫などの生命の多様な機能を、分子レベル・遺伝子レベルで解明できる存在でもある。植物の保護では「種痘」の役割をさせたり、遺伝子工学では遺伝子の運び屋として、さらに医療では遺伝子治療の分野で自己防御やタンパク質合成などの機能が注目されるほか、環境分野では植物プランクトンを溶解し海洋の生態系を調節する役割を果たすことも知られている。

 

 本書は、世界のウイルスとともに、日本に現存する植物ウイルスの約260種を分類的に検討し、それらの性状やゲノム構造・病徴を解説。病徴がわかるカラー写真や、貴重な電子顕微鏡写真を多数収録。また総論として広くウイルス学全般にわたり、ウイルス研究の歴史や研究手法なども解説する。

 

 植物ウイルスの病原学的研究で世界に知られる研究者が、長年の講義や研究の成果を集大成した本書は、農業や園芸、森林保全など植物の栽培・保護に関わる人はもちろん、分子生物学や遺伝子治療、医薬品や農薬開発、環境生態学など、基礎科学・応用科学諸分野の研究者にも有用な、ウイルス研究座右の書。

✦日本の種を網羅・分類。ウイルス研究座右の書

最後に残された病原といわれるウイルス。世界の種とともに、日本に現存する植物ウイルスの約260種を分類し、それらの性状やゲノム構造、病徴、媒介生物等を詳述。

✦本邦初。日本の種の大半に電顕写真を収録

長年にわたり電子顕微鏡で調査し、日本の種の大半を撮影。植物ウイルスの病原学的研究で世界に知られる著者が研究成果を集大成。病徴がわかるカラー写真も収録。

✦ウイルス学の歴史や方法も紹介

総論では植物ウイルスのみならず、広くウイルス学全般について解説。生きた宿主内でのみ代謝する非生物で、謎の多い生命体の性質や分類、研究史、手法を概観。

✦農業・環境保全・医療など多方面で活用

増殖や免疫など生命の機能を分子・遺伝子レベルで研究できるウイルス。農業・園芸植物など植物保護をはじめ、医学・薬学・獣医学・遺伝学・分子生物学・環境生態学など基礎科学・応用科学の関連諸領域にたずさわる人に。

 農耕文化とともに植物学は芽生えたといわれる。植物には多数の病気があり、……ウイルスは生物の病気の重要な病原である。ウイルスは生きた宿主内でのみ代謝する非生物であり、ウイルスに対しては今日なお有効な治療薬は存在せず、最後に残された病原ともいわれる。 

 植物病理学には、植物学、病原学の知見が重要であり基本となる。……Ⅰ編は総論、Ⅱ編は本邦に存在するウイルスを中心に主な特徴を示した。Ⅱ編ではウイルス粒子の形状、細胞内所見を示すために、極力、電顕写真の収録に務めた。

 本書が植物保護関係者のみならず、関連領域における方々に広く活用されることを望む。(「はじめに」より)

はじめに 

第Ⅰ編 総論

1.植物ウイルス病

 (1)ウイルス病の記載 (2)被害 

 (3)他生物のウイルス病 

  ①脊椎動物 1)ヒト 2)家畜類 ②無脊椎動物 ③細菌 ④菌類など 

 (4)ウイルスの発見と定義 

2.ウイルスの検診・同定

 (1)病徴 (2)接種試験 (3)電子顕微鏡観察 (4)血清試験 

 (5)遺伝子診断  

3.ウイルス粒子の性状

 (1)形態と構造 (2)理化学的性状 

4.ウイルスの遺伝

 (1)ゲノム (2)遺伝情報の発現と複製 (3)変異と進化 

5.ウイルスの感染・増殖と防除

6.ウイルスの分類

 (1)ウイルス分類の歴史 (2)ウイルスの同定・分類基準 

 (3)国際ウイルス分類委員会(ICTV)による分類 

 (4)植物ウイルスの種類と本邦のウイルス 

 (5)ウイロイドの分類と複製 

 

第Ⅱ編 病原ウイルス

1.2本鎖(逆転写)DNA ウイルス  

2.1本鎖DNAウイルス

3.2本鎖RNAウイルス

4.1本鎖RNAウイルス

  A. 逆転写(RT)ウイルス B.マイナス(−)鎖ウイルス 

  C.プラス(+)鎖ウイルス 

  棹状ウイルス/球状ウイルス/桿菌状ウイルス 

5. 未分類あるいは未詳ウイルス

  球状ウイルス桿(棒)状〜ひも状ウイルス被膜を欠く短桿菌状ウイルス

6.ウイロイド

 

参考図書 

索引

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山下修一(やました・しゅういち)

東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。 長年、農作物などの植物を中心に病原を探求し、電子顕微鏡を駆使してその性状を分析・解明し分類。イネいもち病菌ウイルスをはじめ、日本在来の新記載・未記載ウイルスを数多く発見した。その他食用きのこ、発酵菌などのウイルスや、細菌、菌類、微少動物(フシダニ等)、ポストハーベスト(収穫後)病害、罹病植物の微細構造なども研究し、関連分野は基礎科学・応用科学へと幅広い。『植物病害虫の事典』(2001年、朝倉書店)など著書・編著書多数。