カンタベリ物語 共同新訳版

[著]ジェフリー・チョーサー

[監訳]池上忠弘
[体裁]四六判上製・1064ページ(カラー口絵4ページ)
[定価]本体6,800円+税

[ISBN] 978-4-86582-042-3

2021年7月発売

 

中世英文学のなかでひときわ屹立する大詩人ジェフリー・チョーサー晩年の韻文物語集『カンタベリ物語』の最新邦訳版。中世英文学の泰斗・池上忠弘の監修のもと、ベテラン・中堅・新進の研究者23人が参画し、各話の前に、概説・特色・出典等々を記した「解説」を付し、末尾には懇切な訳注を付した決定版!

 

いかめしげな宗教談義、みやびな宮廷風ロマンス、猥雑な笑話...〈人間喜劇〉の一大絵巻!

「チョーサーは生涯にわたり当時の政治、経済、軍事、外交の世界を豊富に経験した・・・・・・実人生の多様な体験が、彼の人間観察の眼識を豊かに培っていった・・・・・・偉大な読書家でもあった。その学問はウェルギリウスやオウィディウスを始めとする古典文学、同時代のフランス文学、イタリア文学、聖書の研究、哲学、法学、天文学、医学にまで及ぶといわれる。一言でいえば、チョーサーの文学、特に『カンタベリ物語』は、書物による莫大な知識と、詩人の実人生の多彩な体験とが深く結びついて生まれた、〈人間喜劇(コメディア・フマナ)〉の世界なのである。」(「共同新訳によせて」より)

【書評・メディア掲載】

▶『図書新聞』(2022年2月12日付でご紹介いただきました(評者:渡辺祐真氏)

『カンタベリ物語』の共同新訳によせて

カンタベリ物語(共同新訳版)


総序歌  General Prologue(解題:杉藤久志、翻訳:池上忠弘)
騎士の話  The Knight’s Tale(解題&翻訳:春田節子)
粉屋の話  The Miller’s Tale(解題:杉藤久志、翻訳:斎藤勇)
荘園管理人の話  The Reeve’s Tale(解題&翻訳:菊池清明)
料理人の話  The Cook’s Tale (解題:和治元義博、翻訳:松田英・和治元義博)
上級法廷弁護士の話  The Man of Law’s Tale(解題:瀬谷幸男、翻訳:瀬谷幸男・狩野晃一)
バースのおかみの話  The Wife of Bath’s Tale(解題&翻訳:石野はるみ)
托鉢修道士の話 The Friar’s Tale(解題&翻訳:中尾佳行)
教会裁判所召喚吏の話  The Summoner’s Tale(解題&翻訳:中尾佳行)
オックスフォードの学者の話 The Clerk’s Tale(解題:杉藤久志、翻訳:松田英・池上忠弘、訳注:松田英・和治元義博・狩野晃一)
貿易商人の話 The Merchant’s Tale(解題&翻訳:小林宜子)
騎士見習いの話  The Squire’s Tale(解題&翻訳:春田節子)
地方地主の話  The Franklin’s Tale(解題&翻訳:春田節子)
医者の話  The Physician’s Tale(解題:堀田隆一、翻訳:菊池清明)
免罪符売りの話  The Pardoner’s Tale(解題&翻訳:菊池清明)
船長の話  The Shipman’s Tale(解題&翻訳:野地薫)
女子修道院長の話  The Prioress’s Tale(解題&翻訳:多ヶ谷有子)
トーパス卿の話  The Tale of Sir Thopas(解題&翻訳:斎藤勇)
メリベウスの話  Tale of Melibee(解題&翻訳:唐澤一友)
修道士の話  The Monk’s Tale(解題&翻訳:濱口惠子)
女子修道院付司祭の話  The Nun’s Priest’s Tale(解題&翻訳:浅川順子)
第二の修道女の話  The Second Nun’s Tale(解題&翻訳:河崎征俊)
律修参事会員の召使いの話  The Canon's Tale(解題&翻訳:田口まゆみ)
法学院の賄い方の話  The Manciple’s Tale(解題&翻訳:河崎征俊)
教区主任司祭の話 The Parson’s Tale(解題:狩野晃一、翻訳:辻康哲・多ヶ谷有子、訳注:和治元義博・藤本昌司・福田一貴)
チョーサーの取り消しの文  Chaucer’s Retraction(解題&翻訳:瀬谷幸男)


あとがき

ジェフリー・チョーサー(1343?~1400)

中世イングランド最大の詩人。商人でありながら、イングランド王エドワード3世とリチャード2世に仕えた宮廷人でもあり、軍人、外交使節、税関監査官、王室林務官など多彩な公務を歴任。当時主流であったラテン語やフランス語ではなく、英語を使って執筆をした。『カンタベリ物語』はチョーサー最後の作品で、写実性と、さまざまな人生経験を積んでますます深みと豊かさを増した洞察力、生来のユーモアのセンスが華麗に織りなされ、その時代の最もすぐれた文学作品との評価を得ている。

【監訳者】

池上忠弘(いけがみ ただひろ)
1932年-2018年没。慶應義塾大学卒業。成城大学名誉教授。2011年瑞宝中綬章。主要業績に「チョーサーの『公爵夫人の書』を読む」「中世英文学シンポジウム」(学書房、1991)、『ガウェインとアーサー王伝説』(秀文インターナショナル、1988)、訳書に『サー・ガウェインと緑の騎士』(専修大学、2009)、『中世英文学の伝統:Essays in honour of Tadahiro Ikegami』(雄松堂、1997)、『農夫ピアズの幻想』(中公文庫、1993)など。

 

【訂正】
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【関連書】

『チョーサー巡礼』

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