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詩人 島朝夫の軌跡

▶2015年10月7日発売

 

[著]島朝夫

[定価]本体4,500円+税

[体裁]A5変形判・544ページ 

[ISBN]978-4-86582-004-1


詩人であるとともに、キリスト者であり、教育者、科学者でもあった島朝夫。同人誌掲載の小説や一連の詩論など初期著作から、公私にわたり交流のあった詩人・芸術家の作品評、雑感やエッセイ、そしてライフワークであった「シャルル・ぺギー論」を収録。

 


【あとがきより】

…生涯、父の精神を貫いていたものは「コレスポンダンス」(交感)だったのではないかという気がします。それは、生前出版した七冊の詩集の中から聞こえてくる主調音のようにも思え、敬愛していた詩人や芸術家たちへの共感と応答として、書きためていた文章からも響いてきます。…

 

父の生き方や思想を決定づけたのは、フランスの詩人シャルル・ペギーであったと思います。悲惨な状況に置かれている人々の痛みに向けられるペギーの「コンパッション」という言葉に出逢い、その深淵な意味を問い続け、格闘していたようです。「シャルル・ペギーの作品と思想」は死の半年前まで、同人誌「六分儀」に連載しており、最終回は力およばず未完に終わってしまいました。心残りであったはずです。けれど臨終の父の微笑を思い出すたび、力尽きたというより、力を尽くし果たした人の安堵にも似た至福を享受していたように思えるのです。…


【目次】

第一章 初期作品と詩論

第二章 作品論・交友録

第三章 小品

第四章 シャルル・ペギー論

終章  

 

目次詳細…

[著者]
島 朝夫(しま あさを)

本名島崎通夫。1920年東京生まれ。東大農学部を卒業、青山学院女子短期大学で教鞭をとり、同大学長(1980-92)、星美学園短大学長(1994-97)を務める。生命現象の分子論的研究から現代生命思想論に転じ、テイヤール・ド・シャルダン『自然の中の人間の位置』を翻訳(春秋社)。自然・生命・人間の関わりを考え続ける。また旧制一高在学時よりフランス詩人シャルル・ペギーの作品に親しみ、代表作の一つ『ジャンヌ・ダルクの愛の神秘(劇)』を翻訳(遠藤周作他編『キリスト教文学の世界』第3巻・主婦の友社、1978)。詩作では、原民喜氏を通じ『三田文学』に作品を発表、のち第二次『山の樹』終刊まで同人。作品・評論を『詩学』他に発表した。詩集に『佝僂の微笑』(ユリイカ)、『遠い拍手』(永田書房)、『さるゔぇ・れじな』(黄土社)、詩写真集『火の果て』(彫刻家掛井五郎作品と詩︱麻布霞町画廊) 、『風来刻刻』(詩学社)、『あやつり』(夢人館)、『供物』(土曜美術社)。日本生命倫理学会、日本現代詩人会、キリスト教詩人会会員。『六分儀』同人。