排出する都市パリ—泥・ごみ・汚臭と疫病の時代

【著】アルフレッド・フランクラン

【訳】高橋清徳

 

定価=本体2,200+税

四六判296ページ

20073月発売

ISBN 978-4-903487-07-6

✣日本図書館協会選定図書

※品切れ、重版未定

 

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汚臭と疫病の巷から、華の都へ—もうひとつのパリの物語

汚穢と汚臭に満ちていた時代のパリの生活空間を、第一次史料にもとづき、いきいきと再現。臭くて汚い華の都の物語。現代の産業廃棄物・環境行政問題に先鞭をつけた古典的名著。

 

▶▶▶朝日新聞(2007.4.29:橋爪紳也氏評)、週刊文春(2007.6.1号:鹿島茂氏評)に書評が掲載されました。

中世から近世にかけての数百年間、パリの路上には人や動物の糞尿があふれ、腐った食品のくずが散乱し、セーヌ川には屠殺された牛や豚の臓物や血が途切れることなく流れ込んだ。うっかり道の端を歩こうものなら、頭上から容赦なく屎尿がぶちまけられた。街は悪臭に満ち、それは王宮にまで及んだ。ひとたび疫病が発生するや、あっという間にパリを席巻し、数千数万の人々の命を奪った…

第Ⅰ章 十二世紀から十六世紀まで

リュテスおよびパリという語の語源/最初の舗装/サン=ドニ年代記/道路管理官とその特権/法律の無力性/黒死病/ごみ捨て場に関する新王令/便所と便器/最初の下水道 ほか

第Ⅱ章 十六世紀

ペストに関する1531年の王令/道路盛装・便所設置の義務/「臭い穴」、下水道、井戸/汚染された街路/町場・農村地域の衛星規範/治療法と予防法/医師の数/埋葬/四輪馬車 ほか

第Ⅲ章 十七世紀

1606年から1638年までの疫病/サン=タンヌとサン=ルイ施療院の設立/レプラ患者の隔離儀礼/汲取り人の組合/パリの美化/ルーヴルの吐き気を催すような状態 ほか

第Ⅳ章 十八世紀

窓から中身をあける夜の容器/汲取り人の女親方/糞便の捨て場と下水の状態/街路の盛装/セーヌ川の状態/オテル=デュウ施療院の恐怖/墓地/下掃除人 ほか

 

史料/訳者あとがき/図版出典一覧/索引

【著者】

アルフレッド・フランクラン

(Alfred-Louis-Auguste Franklin・18301917)

パリのマザラン図書館に勤めるかたわら、多数の歴史書を発表。特に『過去の私的生活』(全27巻)は有名で、本書はその中の医学アカデミーから賞を授与されたものの翻訳。

 

【訳者】

高橋清徳(たかはし・きよのり)

専修大学法学部教授。西洋法制史・ヨーロッパ都市論・フランス環境法。主な著訳書に『国家と身分制議会』『西洋中世のコミューン』『交易のヨーロッパ史』など。


(*刊行時のものです)