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デモクラシーという幻想――19世紀アメリカの民主主義と楽園の現実
［著］大畠一芳
［体裁］四六判・196ページ
［定価］本体2,000円＋税
［ISBN］978-4-86582-033-1
2018年8月
自由と民主主義との相克―大衆の欲望の行き着く先は？
自由と民主主義との相克――19世紀アメリカ文学の解読を通して、「人民の、人民による、人民のための政治」が、「多数派の、多数派による、多数派のための政治」に堕してしまう政治風土を照射！
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★庶民の時代へ大きく変貌する過渡期にあって、頑迷にアメリカの建国の理念、そして民主主義の理想を説き続けた、フェニモア・クーパー。
★狂気寸前、骨の髄まで民主主義の理想に殉じた殉教者、ウオルト・ホイットマン。
★はなやかな豪邸やニューヨークの摩天楼も、拝金主義・商業主義に侵された民主主義の行き着いた無残な光景としか映らなかった、ヘンリー・ジェイムズ。
★金権主義と低俗な民主主義の支配する世紀末ワシントンの政治の世界に自分の居場所を見つけられなかった、ヘンリー・アダムズ。
19世紀後半の4人のアメリカ文学者の解読を通じて、異質なものをできうるかぎり排除しようとするアメリカ民主主義に内在する危険性をえぐりだす。
【書評掲載】
▶『アメリカ文学研究』第56号（2020年3月）にてご紹介いただきました（評者・堤千佳子氏）。
第一章 アメリカン・デモクラシーと四人の作家
１． 自由とデモクラシー
２． Ｊ・Ｆ・クーパーと『アメリカの民主主義者』（The American Democrat）
３． ウォルト・ホイットマンと『民主主義の展望』（Democratic Vistas）
４． ヘンリー・ジェイムズと『アメリカの風景』（The American Scene）
５． ヘンリー・アダムズと『デモクラシー』（Democracy: An American Novel）
６． 民主主義とアメリカのアダム
第二章 偉大なるアナクロニスト――Ｊ・Ｆ・クーパーの矛盾と相克
１．Ｄ・Ｈ・ロレンスの『アメリカ古典文学研究』とＪ・Ｆ・クーパー
２．クーパーと『アメリカ人観』（Notions of Americans ）
３．クーパーと『アメリカの民主主義者』（The American Democrat）
４．クーパーの「自由と平等」
５．世論と新聞
６．レザーストッキング物語五部作の謎
第三章 デモクラシーの預言者――ホイットマンと民主主義の現実
１． 『草の葉』とデモクラシーの聖典
２． 『第十八代大統領！』とアメリカ政治の現実
３．民主主義の展望』とアメリカ庶民の実態
４．宗教的民主主義
第四章 最後のブラーミン――ヘンリー・アダムズと歴史の連続性の崩壊
1．南北戦争後のアメリカ社会と政治
2．金メッキ時代と民主政治の現実
3．ヘンリー・アダムズと『デモクラシー』
4．アダムズの政治哲学と金メッキ時代
5．『ヘンリー・アダムズの教育』と歴史の連続性の崩壊
6．発電機の隠喩
第五章 意識と形式の分断――ヘンリー・ジェイムズのアメリカ
1．アメリカ精神の特質
2．自由の自家中毒
3．意識と形式の分断
4．アメリカと空虚な民主主義
5．民主主義、商業主義、そして機械文明
6．コンコードと歴史の連続性
７． 商業主義とジェイムズ
第六章 テクノロジー、デモクラシー、そして二人のヘンリー
1．機械文明の揺籃の地
2．民主主義、拝金主義、そしてテクノロジー
3．ヘンリー・アダムズと政治
4．『ヘンリー・アダムズの教育』の意味するもの
5．比喩としての発電機――歴史の断絶と民主主義
6．二人のヘンリー
あとがき
【著者】大畠一芳（おおはた・かずよし）
1949年茨城県生まれ。茨城大学名誉教授。茨城大学人文学部でア
メリカ文学を担当。現在聖徳大学兼任講師、流通経済大学非常勤講師。茨城大学人文学部卒、筑波大学大学院博士課程単位取得退学。国際ロータリー財団奨学生（デイトン大学大学院1975～76年）、文部科学省在外研究員（イェール大学1998～99年）。主な著書に『アメリカ文学のヒロイン』（共著 リーベル出版1984年）、『アメリカ文学――理論と実践』（共著 リーベル出版1987年）、『アメリカ文学のヒーロー』（共著 成美堂1991年）、『アメリカ文学とテクノロジー』（共著 筑波大学アメリカ文学会2002年）、『新アメリカ研究入門』（共著 成美堂2001年）、『法と生から見るアメリカ文学』（共著 悠書館2017年）など。