人と表象

【編】高知尾仁

 

定価=本体4,800円+税

A5判432ページ

ISBN 978-4-903487-45-8

2011年3月発売 

人間にとって〈表象〉とはなにか

 〈表象〉とは、〈精神〉と〈モノ〉の中間にあって、そのふたつを結びつけるもの。 人間は〈表象〉によって〈世界〉を生み出し、また〈表象〉した〈世界〉によって〈自己〉を造出する。つまり〈表象〉とは、〈生産物〉であると同時に〈生産者〉でもある。

 人類学者、倫理学者、仏教学者、英文学者など多様な立場の研究者が集い、「人間にとって〈表象〉とはなにか」を問うたプロジェクトの成果をまとめた論集。

序章 表象ということ(高知尾 仁)

第一部 原理、あるいは根源

1章 生命の根源について―ヨーロッパ伝統において(彌永信美)

2章 表象と情念ー魂の根底にある公共性(山内史朗)

3章 コモロ人ディアスポラの民話にみる表象群(小田淳一)

第二部 社会、宗教、政治

4章 失われたアルカディアー世紀末のレドゥクシオン(原 毅彦)

5章 インドに〈仏〉を見る―玄奘『大唐西域記』を中心に(田中純男)

6章 伊達男、戦場に死す―ロレンス「モンキー・ナッツ」と第一次大戦の表象(荒木正純)

第三部 自-他表象

7章 「見る者」と「見られる者」―他者表象と自己認識のダイナミクス(浅井雅志)

8章 植民地という日常から/日常への旅―オクタヴ・マノーニのマダガスカル (深澤秀夫)

高知尾仁(たかちお ひとし)

 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授。文化人類学(人類学精神史)。主著に『球体遊戯』『表象のオリエント』『表象のエチオピア』など。

彌永信美(いやなが のぶみ)

 フランス国立極東学院・東京支部代表。専攻は仏教学、比較文化。主著に『幻想の東洋』『大黒天変相―仏教神話学1』『観音変容譚―仏教神話学2』。

山内志朗(やまうち しろう)

 慶應義塾大学文学部教授。倫理学専攻。主著に『天使の記号学』『普遍論争』。

小田淳一(おだ じゅんいち)

 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専攻は計量文献学。主著に「映像編集の修辞学」(金井明人他編『映像編集の理論と実践』)、「疫神の詫び証文に関する情報学的アプローチの試み-計量文献学およびGISを用いて」(笹原亮二編『口頭伝承と文字文化-文字の民俗学声の歴史学』、「アンダルシア音楽を計量する」(水野信男他編『アラブ世界の音文化』)。
原 毅彦(はら たけひこ)

 立命館大学国際関係学部教授。専攻は文化人類学、ラテン・アメリカ史、日本民俗学。主著に『ラテンアメリカからの問いかけ』(共編)、『文化人類学文献事典』(共編)、『ニューフロンティア 国際関係』(共編)。

田中純男(たなか すみお)

 大正大学非常勤講師。専攻は梵文学、インド仏教。主著にE.チュルヒャー著『仏教の中国伝来』(共訳)、 『死後の世界』。

荒木正純(あらき まさずみ)

 筑波大学名誉教授、白百合女子大学教授。専攻は英米文学批評理論。主著に『ホモ・テキスチュアリス』『「羅生門」と廃仏毀釈』。

浅井雅志(あさい まさし)

 京都橘大学人間発達学部教授。専攻は英文学、比較文化・文明学。主著に“Fullness of Being:A Study of D.H.Lawrence”、『モダンの「おそれ」と「おののき」』。

深澤秀夫(ふかざわ ひでお)

 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。専攻は社会人類学。主著に「マダガスカルとインド洋西域島嶼世界」(川田順造編著『アフリカ史 (新版世界各国史)』)、「未完の「国語」-マダガスカル語とフランス語の相克」(梶茂樹・砂野幸稔編著『アフリカのことばと社会』、「ラベアリヴェル 校正係の夢-作家に非ざる作家としての20世紀個体形成」(真島一郎編著『20世紀〈アフリカ〉の個体形成』。

 

(掲載順)