刊行案内人文(民話)『シリーズ 新しい日本の語り』>『むぬがたいの会の語りー新しい日本の語り 第2期第10巻』

むぬがたいの会の語りー新しい日本の語り 第2期第10巻

 [編]日本民話の会

    責任編集・樋口淳

[体裁]四六判・230ページ、DVD付き 

[定価]本体1,800円

[ISBN]978-4-903487-77-9

2014年4月発売

 

 沖縄の豊かな語りとシマクトゥバ(島ことば)を次代に受け継ぐ語り手集団が記録した物語。

 

『新しい日本の語り』シリーズ概要… 

沖縄の本土復帰とほぼ時を同じくして始められた〈むぬがたい〉の活動は、古くから政治や軍事に翻弄され、いままた世界を席捲しつつあるグローバリゼーションの大波に洗われて、消滅の危機にさらされている沖縄諸島固有の文化、固有の言語(=シマクトゥバ)を記録・保存し、現代に生かすという、はっきりとした問題意識に根ざしたものであった。

 

立ち上げてから30年余、こつこつと蒐集した7万5千話の伝承や民話をもとにした〈沖縄伝承話データベース〉を作成する一方、自ら語りを実践し、かつ語りの後継者の育成にも力を入れてきた〈むぬがたいの会〉。

 

本巻に収められた43話およびDVDは、シマクトゥバで語ってもほとんど理解できない聞き手を前にして、共通語をまじえておぎないつつ、いかにして沖縄の民話の面白さを伝えるか?―シマクトゥバの語り、シマクトゥバと共通語マンチャー(混ぜた)語り、共通語での語りなど、まさに〈新しい語りの言葉〉を手探りで模索するという困難な作業の積み重ねの成果である。

 

Ⅰ 島々の語り 

1.波照間の新生             波照間島 

2.津波を呼ぶ人魚            波照間島 

3.ヤモリの教え             八重山 

4.ヒバリと生き水            八重山 

5.ニワトリが朝鳴くわけ         八重山 

6.火の玉の恩返し            八重山 

7.ウズラのかあさん           多良間島 

8.カシャとコラマタ           多良間島 

9.鬼と三つの玉             宮古・城辺町

10.漲水御嶽由来             宮古 

11.黄金の花               宮古

12.クムイのマー             久米島  

Ⅱ 那覇の語り 

13.みるくとさーか            那覇市 

14.十二支由来              那覇市 

15.親不孝なカエル            那覇市 

16.ネコと虎               那覇市 

17.トーカチ(米寿)由来         那覇市 

18.モーイと幽霊             那覇市 

19.火正月の話              那覇市

20.後生から帰った話           那覇市 

21.黄金の瓜種              那覇市 

22.キジムナーの魚捕り          那覇市

23.あめを買う幽霊            那覇市 

Ⅲ 本島中南部の語り 

24.天女の息子              宜野湾市 

25.普天間権現の由来           宜野湾市 

26.クスケー由来             北中城村 

27.犬と猫と猿の三文銭          沖縄市 

28.チブル蜂由来             浦添市 

29.炭とワラとそら豆           読谷村 

30.物言う牛               読谷村 

31.歌うガイコツ             読谷村 

32.鷲と海老とミーバイ          与那原町 

33.白銀堂由来              糸満市 

 Ⅳ 本島北部・山原の語り 

34.クバがさ地蔵             恩納村 

35.寄木の運定め             本部町 

36.かじまやーの始まり          名護市

37.犬の足                名護市 

38.首のない影              名護市

39.長寿くらべ              名護市

40.喜如嘉カエルと奥間カエル       大宜味村 

41.ハエとスズメ             国頭村 

42.チャーギの精             国頭村 

43.うんこが歩いた話           名護市

【語り部紹介】

「むぬがたい(物語り)」は、沖縄の豊かな語りとシマクトゥバ(沖縄のことば)を受け継ぎ、次世代に伝えるために結成されたグループである。メンバーの多くは、これまで島々を訪ね、語りを聞き、記録してきた。しかし伝承の語り手は、急速に姿を消しつつあり、どうしたら暮らしの中にむぬがたい(物語り)を受け継いでいけるのか? 子どもたちにシマクトゥバを手渡すことができるのか? ここに収められているのは、沖縄の新しい語り手一人ひとりの試みの記録である。