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ヴィヨン遺言詩集
[訳注]堀越孝一
[体裁]四六判・414ページ
[定価]本体2,800円+税
[ISBN]978-4-86582-011-9
2016年5月発売
詩人は15世紀のパリを照射し、歴史家は時代の空気を今に伝える――実証精神と想像力との稀有な融合
無頼、放蕩の限りをつくし、強盗・傷害事件を起こしてパリ追放の身になり、以来、杳として消息を絶った〈フランソワ・ヴィヨン〉。中世最大の詩人とも、フランス文学の父ともいわれるヴィヨンが残したとされる詩作品――「形見分けの歌」(320行)と大作「遺言の歌」(2,023行)を全訳。30年以上にわたりヴィヨン探索を続けてきた西洋中世史学の泰斗が捕捉した詩人の足跡とは。
膨大な史料の考証に裏付けされた的確な訳語はもとより、固有名詞などは『中世の秋』の頃の発音で表記するなど、詩作品ならではの音の響きにも目を配った労作。
‘この年は四百と五十六年 おれは、
フランスェ・ヴィオン、学生である、
心をしずめ、気をおちつけて、考察するに、
ハミをかみ、首輪にかかる綱を引き、
まずはおのれの所業をかえりみろ、’
‘これはやばいぞ、なんとか逃げるには、
一番いいのは、そうだ、旅に出ることだ、
さらば! おれはアンジェーへゆく、
なにしろ女に思し召しがないのだから、
おおよ、これっぽっちもないのだから、
女のせいでおれは死ぬ、五体生きながら、
そうよ、ついにこのおれは恋の殉教者、
恋愛聖者の黄金伝説に名をつらねる ’
【書評掲載】
『図書新聞』2016年8月27日号に書評が掲載されました(評者・田桐正彦氏)。詳細…
堀越孝一(ほりこし・こういち)
1933年、東京生まれ。1966年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。茨城大学、学習院大学、日本大学などで教鞭をとる。学習院大学名誉教授。著書に『中世ヨーロッパの歴史』『中世の精神』『いま、中世の秋』『わがヴィヨン』『ヴィヨン遺言詩注釈、Ⅰ~Ⅳ』『人間のヨーロッパ中世』、翻訳書に、ホイジンガ『中世の秋』『朝の影のなかに』、C.B.ブシャ―ド『騎士道百科図鑑』など。
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