ワーグナー バイロイトの魔術師

[著]バリー・ミリントン

[監訳]三宅幸夫

[訳]和泉 香

[体裁]B5変形判フルカラー320ページ

[定価]本体9,500円+税

[ISBN]978-4-903487-69-4

2013年7月発売

 

 

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生誕200年記念出版! ワーグナー像の転換を迫る

因襲と偏見にみちたワーグナー像を廃し、その芸術の本質と、人間性、政治的影響を、最新の研究成果にもとづき提示。300点近い貴重な図版を収録した、ヴィジュアルな本格評伝の決定版。

 

 

▶『東京新聞』2013年9月29日付読書面に掲載されました。

▶▶『ぶらあぼ』2013年10月号に掲載されました。

▶▶音楽現代』2013年12月号「Book review」に掲載されました。(評者:吉田真氏) 詳細…

▶▶『図書新聞』2013年12月7日号に書評が掲載されました。(評者:上川修史氏) 詳細…

ワーグナーほど毀誉褒貶(きよほうへん)の激しい作曲家はいない。

かたや、台本執筆から作曲・演出・指揮まですべて一人でやってしまい、伝統的オペラに革命をもたらし、自分の作品専用の劇場まで建設してしまった稀代の天才。

 

シェーンベルクなど20世紀の音楽にも通ずる先駆的な作曲技法を達成した、西洋音楽史上最大の芸術家。

かたや、底なしの浪費家、はったり上手のペテン師、自己中心的な女たらし、後にナチにも利用されることになる反ユダヤ主義思想…。


ことほどさように、多くの〈神話〉がついてまわるワーグナーだが、その人物像をめぐる様々な側面について、近年、地道な研究が積み重ねられてきた。

そうした研究の成果を十分に取り入れて本書は編まれ、これまでの因襲にとらわれたワーグナー像を一変させるものとなった。


——ワーグナーは、弟子であり忠実な協力者でもあったハンス・フォン・ビューローから妻コジマを奪ったが、夫としてのビューローはどんな男だったのか?


——たしかにパトロンから多額のお金を引き出したが、それを私利私欲のために浪費したというのは妥当ではない。理想とする芸術のために惜しげもなくお金をつぎ込み、最終的にバイロイト祝祭劇場として昇華させたのではないか?


——ヒトラーおよびナチスとワーグナー家の人々との関係は、本当のところどのようなものだったのか?

 

 

本書には、285点もの図版が収録されている。バイロイト祝祭劇場の杮落しのために歴史画家ヨーゼフ・ホフマンにより準備された《指環》の舞台装置(結局ワーグナーとコジマによってボツにされた)から、ごく最近の舞台にいたる時代を劃した上演の場面、(長男の妻)ヴィニフレートや(孫の)ヴィーラントとヴォルフガングとヒトラーとの親しげな写真などが、たっぷりと収められている。


ワーグナー生誕200年を記念して編まれた本書は、著者のワーグナー研究の集大成であり、収録された285点にのぼる図版とともに、今後、ワーグナーを語る上で必見の書である。

 

父親/音楽修業/生活の糧/軛(くびき)の下/永遠の放浪者:≪さまよえるオランダ人≫/必死のヴェーヌス探求:≪タンホイザー≫/伝統的オペラへの白鳥(決別)の歌:≪ローエングリン≫/革命家の道/チューリヒの日々:ワーグナーのスイス亡命/ヴァルハラの興亡:≪ニーベルングの指輪≫/「最も素晴らしい友」:フランツ・リスト/芸術の女神(ミューズ)、愛人(ミストレス)、母代わり/バイロイトの巨獣(ベヘモス)/常に欠乏/ピンクに包まれて/わが最愛の天使のような友」:ルートヴィヒ2世/致命的な魅力:≪トリスタンとイゾルデ≫/「重要なのは芸術」:≪ニュルンベルクのマイスタージンガー≫ /牡蠣の中の砂:ワーグナーの生涯と作品における反ユダヤ主義の役割/創造力の閃き/沈黙の苦しみ:コジマ・ワーグナー/トリープシェンの牧歌/ 神々のための家/ワーグナーの切り札:≪パルジファル≫ /ヴェネツィアに死す/完全なワーグナー主義者と不完全なワーグナー主義者/黄金のためのカメラ回し:ワーグナーと映画/バイロイトの鍵十字/体制の変化/遺産の再興ほか  

      詳細…

【著者】

バリー・ミリントン (Barry Millington)

イギリスの著名な音楽評論家。「ロンドン・イブニング・スタンダード」紙の音楽批評主筆であり、「ワーグナー・ジャーナル」の編者。ワーグナーに関する数多くの著作を手掛けている。邦訳された著書にWagner in Performance, Yale University Press, 1992(三宅幸夫監訳『ワーグナーの上演空間』1997年、音楽之友社)やThe Wagner Compendium, Thames & Hudson, 1992(三宅幸夫・山崎太郎監訳『ヴァーグナー大事典』1999年、平凡社)などがある。バイロイト音楽祭その他での上演顧問もつとめてきた

 

【監訳者】

三宅幸夫(みやけ・ゆきお)

1946年生まれ。慶應義塾大学名誉教授。著書に『ブラームス』(新潮社)、『歴史のなかの音楽』(平凡社)、『スフィンクスの嘆き―バッハの生涯と作品』(五柳書院)、『音楽家の言葉』(五柳書院)、『菩提樹はさざめく―シューベルト《冬の旅》』(春秋社)など。訳書にワーグナー『トリスタンとイゾルデ』『ヴァルキューレ』『神々の黄昏』『パルジファル』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』他(白水社)、同『タンホイザー』『ローエングリン』『さまよえるオランダ人』(五柳書院)など多数。『ヴァーグナー大事典』(平凡社)および『ワーグナー事典』(東京書籍)の監修者。

【訳者】 

和泉 香(いずみ・かおる)

翻訳家。訳書にロバート・デイヴィス著『ルネサンス人物列伝』(悠書館)など。